鶯谷所印

このスポットについて教えてください！

関東大震災後に建てられたこの築95年の三軒長屋は、街に開けたスペースとして活用したいと思った建築家の方々によって、7年ほどかけてリノベーションされました。その後縁があって、今は私がアートスペースとして運営しています。2007年のオープン当初は古書店＆食堂としてやっていたのですが、さらに有効活用していただけるように、時代に合わせてスタイルを変えて来ました。最近はレンタルギャラリーをはじめ、お稽古ごとやワークショップの場として利用していただくことが増えています。「この建物を残したい」の一心で、これからも古民家を守り続けていこうと思います。

とくに注目してほしいポイントは？

かつて人が暮らしていた時のままの姿で残る、土間や襖、応接間、押入れなどからは、今では希少な昭和初期の家造りを感じていただけます。柱や壁にもほとんど手を加えていないですし、今やめずらしいすりガラスの窓も当時のまま残っています。女性が好みそうなかわいらしい小花模様のガラスを見て、「かつてこの辺りが花街として栄えていた時代に、芸者さんが住んでいたのかもしれない」と思いを馳せてみるのもいいものですよ。柱や梁などの骨組み部分もむき出しの状態になっているので、ぜひ観ていただきたいです。

鶯谷という街の良さは？

私の生まれは鶯谷ではありませんが、この街を離れてしばらく出かけた後に戻ってくると「帰ってきたな」となんだかホッとした気持ちになれます。その理由は、幼い頃から慣れ親しんだ古き良き街並みが、今でも変わらずに残っているからだと思います。すこし路地に入っただけで、都会の喧騒とは無縁の穏やかな世界があります。本当に雨音や鳥のさえずりが聞こえてくるほど静かなので、自然の音に耳を傾けたり、木々を眺める時間を楽しむことができます。そら塾の近くにはイチョウの木が立っているのですが、紅葉シーズンには地面に黄色いじゅうたんができるので今から待ち遠しいです。そういった心落ち着く時間を過ごせるのが、この街の良さではないでしょうか。

街へ訪れた人におすすめしたいスポットは？

ぜひ根岸全体の路地を歩き回ってみてください！ 「小野照神社」の前にある五叉路のような複雑な横断歩道や、レトロな民家など、珍しいスポットを発見するワクワクを感じられるはず。日が落ちてきたら、絶好の撮影チャンスです。古民家のガラス越しに差し込む西日はとても写真映えするので、夕方になったら自分だけの撮影スポットを探してみてください。お目当ての場所だけではなく、たどり着くまでの道のりも含めてこの街を楽しんでくださいね！

『鶯谷所印』を集める人へ、メッセージをお願いします！

鶯谷へはじめて来るみなさん、楽しみ方や目的地までの道のりにルールはありません。余計な心構えは持たずに、ただ街を歩いて、その時、その場所で自分の目に映るものを大切にしてください。この街は新たな感性を広げるのにぴったりだと思いますよ。路地を散策しながら、街の人に声をかけてみるのも忘れずに。きっと街の歴史や、“穴場スポット”を教えてくれるはず。知らない人同士がすぐに仲良くなれるのもこの街の魅力です！

スポットを担当したイラストレーター

おんせんチャン

ビビットな色彩に魅了され、見た人がびっくりし、ワクワクようなイラストを目指して制作しています。アクリル絵の具作品、デジタル作品が得意です。女の子や天使のイラストをよく描いております。コーギーが好きです。